地上げ交渉は私の天職でした。
私が得意としていたのは「ダンプカーで突っ込む」とか「札束ではたく」などの手荒なやり方ではなく、反対地権者に喜んで立ち退いてもらうことでした。

以下に私がやっていた立ち退き交渉のコツを書こうと思います。

2週間に一回、交渉先の家をフラリと訪ねます。反対地権者のほとんどは、年寄りです。

相手には「 近くに来たので寄りました」と言います。もちろんわざわざ行くのですが。

玄関先で10分くらいの世間話。
最後の30秒で相手は必ず気掛かりや心配事を「ポロリ」と言います。それを逃さない。さっと捕まえます。が、そのときは、「○○が気掛かりなんですね」とだけ、反応します。

そして、2週間後またフラリと訪ねます。気掛かりへの何らかの答えを持って。相手が不在なこともあります。そのときは名刺をポストに入れて帰ります。そして、また翌日訪ねます。会えるまで訪ねます。

会えたら、また、世間話。
決してこちらから、こちらの言いたい事、つまり本題は言わない。
相手は本題で私が訪ねているのは分かっている。しかし、絶対にこちらから切り出さない。やがて「 増山さん、○○の件で来たんでしょ。」と必ず言って来る。そしたら「 はい、たまたま調べ物をしていたら、参考資料が目に止まりまして、先日、ポストに入れておきましたが、気が付かれたのですね?少しだけそのこと、話してよいですか?」と言います。すると必ず相手はじっくり聞いてくれる。なぜならば、自ら聞く姿勢になっているから、相手から切り出しているからです。

「 増山さん、○○の件で来たんでしょ。」

これを言わせる。これがコツ。
絶対にこちらから本題を言わない。

交渉とは、
・相手を聞く姿勢になってもらう。
・それからこちらの希望を言う。

これだけです。
聞く姿勢にさせるのが、一番丁寧にやるべき事なのです。
そうすれば、必ず受け入れてもらえます。

ではまた明日の朝8時に
お会いしましょう。

世界一自由を満喫している不動産投資塾の塾長
一級建築士 増山大

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