国の中央防災会議(会長・小泉首相)は27日、首都直下地震への対策をまとめたマスタープラン(大綱)を決めた。 首都の中枢機能維持のため、省庁や企業に電源やデータ確保などを求めたほか、建築物の不燃化などの火災対策や、650万人とも言われる帰宅困難者のための企業や学校の利用を盛り込んだ。 今年度内に、減災に向けた数値目標を含む「地震防災戦略」と、地震発生後の取り組みをまとめた「応急対策活動要領」をつくる。 大綱は、マグニチュード7・3の東京湾北部地震で、死者は1万1000人、経済損失は112兆円が出ると想定している。 大綱は、地震発生時にも事業が継続できるよう、国や自治体、企業には、建物の耐震化などとともに、最低3日間分の非常用電源や食料の確保を求めた。さらに「事業継続計画」づくりや、定期的な訓練に言及した。 また、東京には日本銀行やメガバンクなどの金融機関が集積しているため、データや情報のバックアップを事前に進め、金融決済機能をその日のうちに復旧させることをめざすとした。 06年度に「地震時経済対策要領」をまとめ、さらに具体化を進める。 首都直下地震では、死者の半数余りが火災によってもたらされ、建物の焼失は65万棟にのぼるとされる。このため、延焼をくい止める河川や公園の整備や、沿道建築物の不燃化を促進し、「防災環境軸」をつくるとした。 建物倒壊(15万棟)が火災を引き起こす要因になっていると指摘。住宅の耐震化に向けて、改修工事への補助制度、優遇税制の導入とともに、安全な建物への認定マークの交付といった環境整備を挙げた。 避難所生活者は400万~460万人で、阪神大震災(30万人)の10倍以上になるとされる。避難所の確保だけでなく、都内で約67万戸あるという空き家や空き部屋の活用、ホテルの利用などを挙げた。さらに、避難所に入る人を大幅に減らすため、住民の疎開や帰省、児童・生徒の学校単位での疎開などを盛り込んだ。 一方、最悪で650万人とも言われる帰宅困難者については、駅周辺や路上にあふれると、救急活動の妨げになるとして、「むやみに移動を開始しない」という基本原則を周知・徹底するよう求めた。企業や学校には、従業員や職員・児童生徒らが一定期間、施設内で過ごせるよう、食料の備蓄や家族への安否確認態勢を図るとした。
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