建築士の増山です。
※ 写真は大好きだった堂島ロールの堂島ホテルが閉鎖されたようです。
     
2000棟の賃貸住宅の設計を
仕事としてやってきた職業感が、
ガラリと変わった出来事。
     
阪神大震災の当時、
横浜市で設計マンを
やっていました。
     
被災地に診断士として行けず、
ジリジリと過ごしていたある日、
その機会がやって来ました。
     
1997.1.31
震災から二週間後。
当時、設計担当し工事中の、
大阪アパート施主から。
     
建物の安全性の説明を受けたい、
と大阪出張の機会を得たのです。
    
大阪アパートは通常の基礎では
やや物足りない軟弱地盤でした。
     
しかしながら多少の補強でよく、
杭を打つまでは必要なかった。
     
当初そう説明したが
施主は余裕のある人らしく、
「安全を見て杭にして欲しい」
     
だから杭基礎で設計した。
当たり前の仕事をした。
私はそんな感覚でした。
     
当日、現地で会った瞬間、
施主は私の手を取り涙ぐみながら
     
「杭で設計して本当によかった!
ありがとうございます!」
     
感激で感謝いただいたのです。
     
私は設計マンとして
当たり前のことをした。
その結果、大感謝された。
     
この体験は私にとって
極めて新鮮でかつ
大きな驚きでした。
     
当たり前のことをやって
こんなに感謝感激されるんだ。
     
今まで当たり前にやって来た仕事。
もしかしたらお客さんは
喜んでいたのかも。
     
だとしたら、
それを直接伝えてもらわずに
過ぎ去っていたのだとしたら。
     
何と、もったいない!
施主からご馳走になったお寿司
の味は今でも忘れられない
格別なものでした。
     
翌早朝、、
被災地に訪れたのですが
私は愕然とする光景を
目にしたのでした。
     
来週の火曜日に続く。